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泡沫の夢【呪術廻戦】

第4章 任務


夜の寮の廊下。
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灯りの下、ゆうなはゆっくりと歩いていた。
その隣を夏油が静かに並んで歩く。
「ほんとに、大丈夫?」
「うん。硝子ちゃんが治してくれたからね。」
ゆうなは少し照れたように笑う。
脇腹の痛みはほとんどなくなったが、やっぱりどこか身体が重い。気疲れもあるのかもしれない。
「……今日はちゃんと休んだ方がいい。無理するなよ」

「うん。ありがとう、夏油くん」
そう言いながら、自室の前に辿り着く。
ゆうながドアノブに手をかけようとしたその時——
「ゆうな」
ふいに声がかかる。
振り向けば、制服のままの五条悟が立っていた。表情は一見いつも通りだが、瞳の奥には微かな焦りが見えた。
「悟くん?」
「怪我、大丈夫か?」
「うん。硝子ちゃんがしっかり治してくれたから」
五条の視線がふと横に逸れ、夏油に向かう。
そして、軽く息を吐いて口を開いた。
「……付き添い、ありがとな」
「当たり前だろ。私がゆうなと任務だったからな」

沈黙。
けれどその空気は決して険悪ではなく、ただ少しだけぎこちないだけだった。
「ほんとにありがと、夏油くん」

ゆうなが夏油に向けて微笑む。
そして、少しだけ振り返って——

「悟くんも心配してくれて、ありがとね。私、もう大丈夫だから」
彼女はそう言って部屋の扉を開けた。
廊下には、夏油と五条だけが残される。
「何怪我させてんだよ」
「次は私が絶対に守るさ」
どちらともなく交わした短い言葉だけが、夜の空気に溶けていく。
部屋の扉は音もなく閉まり、灯りの下に二人の影が静かに伸びていた。
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