第3章 夜
夜のコンビニ前。
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白く光るネオンが、人気のない舗道をぼんやり照らしている。
アイス片手に、ゆうなと硝子がベンチに腰かけていた。
「……うまっ。」
「硝子ちゃんって、やっぱチョコミント派なんだね」
「当たり前じゃん。これ以外ありえなくない? てかさ、お風呂あがりのチョコミント、脳が溶ける感じして好きなんだよね~」
ゆうなは笑いながら、自分のチョコレートアイスを一口。
その様子を見た硝子は、にやりと口元をゆがめる。
「……にしても、アンタもずいぶん成長したよねぇ」
「え、なにが?」
「いや、見た目も中身も。最初は五条の後ろにずっとくっついてると思ってたし」
「ええっ!?そ、そんなこと……ないよぉ……」
もじもじしていたその時、背後から聞き慣れた声が。
「こんな夜更けに、女の子ふたりで出歩くなんて関心しないなぁ」
振り返ると、黒のパーカーに身を包んだ夏油が立っていた。
ゆうなの目がぱっと輝く。
「夏油くん! どうしてここに?」
「君たちが出て行くのを見たんだ。悟があまりにも無防備に自室に引きこもってたからね……案の定だったよ」
硝子が苦笑しながらぼそっと呟く。
「……絶対、今頃アレしてんだろうな……ゆうなで……」
「えっ?」
「なんでもないなんでもない♪」
夏油はベンチの端に腰かけると、ゆうなと硝子を交互に見やった。
「……なんだか、楽しそうだったね。ふたりとも、いい顔してる」
「えへへ、夏油くんもアイス食べる?」
「じゃあ…もらおうかな」
彼の穏やかな笑みと、夜の静寂に包まれた時間。
ただのアイスなのに、少しだけ心が温かくなった気がした。