すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第15章 熱に浮かされて
「…ッッ」
キュッと指を絡め取られる凜桜。そう、左手は住吉の右手に絡め取られたのだ。
「…これ…どうやって仕事するのよ…」
怒るのも邪険にするのもすべてどこかに感情を置いてきたかの様に住吉の寝息に小さくため息を吐くしかなかった凜桜は右手のみで仕事をしていくのだった。
効率は格段に悪いし、打ち間違いも多々起こる。それでも住吉の休息をとるためには…と何とか仕事をこなしていった。
「…えー…なんでこれこんな数字なのよ…どうするの?」
ぶつぶつと独り言にも似た様子でカチカチと打ち込んでいく。小さくため息を吐きながらも、唸っているその様子に肩口でくすくすと笑い、肩が揺れた。
「…代表?起きてます?」
「あぁ、ずっと起きてる」
「なら手、放してください…仕事が進みません」
「まぁいいじゃない?」
「はい?」
「今日くらいいいだろ」
「よくないと思いますけど?」
「俺がいいって言ってる。」
そういいながらも指を絡めたまま放すそぶりもなければ、肩から退く気配もなかった。そんな住吉にされるままに気を許していた凜桜だった。
「これ、もぉ…」
「何やってんの?」
「あ、いえ…別に…」
「これ、ここの数式は?合ってんの?」
「…すみません、ありがとうございます…」
じっと見ていた住吉が一回指摘したところを改善すれば一気に数字が変わり、数値が正されていく。
「俺の勝ちだな…」
「勝ちとかありますか?」
「ないの?」
「…クスクス、ならご褒美にベッドでゆっくり寝てください?」
「ヤダ」
「…まだそんな事言うんですか?」
はぁ…っと小さくため息を漏らす凜桜だった。