すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第3章 ようこそ、俺の家に…
凜桜が住吉に電話をかけて、およそ30分くらいした頃。
「…悪い、待たせた」
「いえ、それよりもすみません、よくよく考えたらなんで私住吉さんに電話したのかなって…」
「…ん?」
少し前に別れたばかりの格好のまま、手荷物こそないものの、住吉はやってきた。
「それにしても、逆に悪かった。歩かせちゃって」
「いえ、それは大丈夫です…」
「んじゃ、行くか…」
「やっぱり、私このままどこかホテル探します」
「もったいない」
そういって住吉は普段あまり見ない自身の車の助手席を開けた。
「…あの、これは…」
「俺の。だから気にしないで?」
「いえ、逆に気にしますけど…」
「野宿する?」
「いえ、ぜひ乗らせてください…」
乗るか、野宿か…そんな選択肢をもらえば凜桜出なくても恐らく誰もが前者を選ぶだろう。してやったりと言わんばかりの住吉だった。
「…で?」
「はい?」
「『はい?』じゃなくて、服とかどうすんの?」
「……あ」
「それにこれから住む場所。食事から出社、どうする?」
「…ほ、ホテルに…」
「初給料前に?」
「そこで…あの…厚かましいお願いなんですが…」
「何」
「お給料の前借とかは…」
「却下」
「ですよね…じゃぁ、明日…その…お仕事お休みいただくのは…」
「理由は、聞かなくても大体予想付くけど…」
「諸々の備品を…買い足しに行こうかと…」
「なるほどね。いいよ、行ってきて?」
「ありがとうございます。」
そうして住吉と一緒に着いた先は言うまでもなく住吉のマンションだった。