すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第12章 気付いた思い
「代表?」
ふと手隙になりスマホに視線を落としたタイミングで凜桜は住吉に声をかけた。
「…珍しいな、どうした?」
「いえ、今度の金曜って代表空いてますか?」
「凜桜も知ってるだろ?」
「…そうなんですが…」
「で?」
「よければ、夕飯でもいかがかなと思って…」
「…よそよそしいな…」
「いえ、特に…そう言ってのではないんですけど」
「話でも?」
「あー、そんな感じです」
「なら今夜でもいいだろう。それに今でもいいけど?」
「いえ、二人で…」
「なら、悪い、諒と琥太郎、席外し『じゃなくて!』……何、一体」
「……その…」
少しだけ言いにくそうに凜桜は話し出した。
「…あの、小宮さんが代表と二人で食事したい、って」
「…小宮さんが?」
「はい、それで少し取り持ってほしいって…」
「却下、自分で来させて?」
「き、却下って…」
「だってそうだろ?凜桜が食事ってわけでもないなら本人に来させて?」
そう言って住吉はパソコンに向かっていく。途中までは良かったものの、それでも撃沈に似た感情と、少しだけホッとした心のゆとりが顔をのぞかせた。
「…あれ」
「まだなんかあんの?」
「…もし私がってなってたらどうしました?」
「どこか行くか?ってなるだけだろ」
「……へ?」
「行くか?」
「ごはん?!代表!僕も行きたいです!」
「ってこうなるけどな?」
クスクスと笑いながらも『行かないの?』といった表情を浮かべた琥太郎を他所に、どうしようかと迷っている凜桜もいた。
「…もし何なら一回だけ、凜桜に免じていこうか?」
「…え?」
「なんだその返事」
「…だって…」
「どう話そうか迷ってたろ?」
「そうなんですけど…」
「たく…」
フッと笑えば住吉は『時間決まったら教えて?』と言って鞄を持ってオフィスを後にして取引先の元に向かっていく。