すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第12章 気付いた思い
「おーい、どうかした?」
一向に離れる気配のない凜桜に住吉は声をかける。その一言でも凜桜はきゅっとローブを握りしめていた。
「どうかした?」
「…もう少しで離れますから…ッッ」
そう言えば時期にゆっくりと体を離した凜桜。そっと住吉の背中を押せば小さく笑う住吉がいた。
「もういい?」
「…ん」
「…お、」
「どうかしました?」
「敬語がなくなった。」
「…それ、は…」
「いいんじゃない?」
「…でも…いけないです…すみません」
「謝らなくていいだろ」
クスクスと笑う住吉に、俯いてしまう凜桜だった。
***
それから数日…何事も起きないままに平和すぎる日が過ぎていった。そんなある日…誰が見ても、誰に聞いてもかわいいと評判の女性社員が凜桜に声をかけてきた。
「…あの、大野さん…」
「はい??どうかしましたか?」
「…あの、私…ご相談があって…」
そうして少し場所を変えて小宮は話を切り出した。
「…あの、実は…」
「どうしたの?」
「私、住吉代表の事がずっと好きで…その、お食事に行きたいなって思ってて…」
「…・・はぁ」
「それで、直接はどうしてもお誘いできないから…大野さんに何とか調整してもらえないかなって思ってて…」
そういわれた凜桜。こんな願いとは思いもしていなかった凜桜は少しだけ戸惑っていた。
「…もしかして…大野さんも代表の事好きだったり…しますか?」
「いえ、私は憧れ的に好意はありますけど…」
「よかった…!秘書の大野さん相手だとかないっこないなって思ってたんです!」
にこっと笑いかける小宮になぜか心が一瞬だけちくりとした凜桜。それでも『話はしてみるから…』と返事をしていた。