すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第10章 度重なる不安材料
「というか、今日は意外と近いんですね」
「あぁ、依頼してくれたのが少し離れている場所だったんだけど、近くに用事があるのが夕方からの時間で入っているからと。こっちに来てくれるんだ」
「…なるほど…」
そうしてあるホテルのラウンジに入っていこうとする住吉。少しばかり足が止まる凜桜をみて住吉は少し気になっていた。
「…どうかした?」
「…いえ…なんでもありません」
「ありませんって顔じゃないだろ」
「…その…」
なかなか切り出せない凜桜だったものの、住吉はピンと勘づいた。
「…今日は俺がいる。それにもう終わってるだろ」
「それは…ッッ…そうです」
「しかも他の目もたくさんある。大丈夫だ。」
そう促した。そう、そのホテルラウンジは川端とも来たことのある場所だったのだ。
「…すみません…本当に…ポンコツ…で」
「気にするな」
「そうは言っても…」
「ハァ…なら」
入り口入る前に住吉は立ち止まり鞄からおもむろに香水を取り出した。
「……ッッ…あの」
「これで俺とおんなじだろ。」
「…クス…めちゃくちゃマインド高いじゃないですか」
「高く持てって言ってんだろ」
くすくすと笑いながらも住吉はまた数歩先を歩いていく。中に入ればまだ先方は来ていないものの、席に着くタイミングで相手方も到着した。
話をしていき、それをメモしながらも確認し、日程を進めていく凜桜。
「…クス…本当に住吉さんが傍に置くだけの方ですね」
「それはどうも、彼女優秀なので助かりますよ」
「羨ましい限りだ。」
「渡しませんよ?僕の大事な秘書ですから」
「解ってますよ、」
一気になごんでいくその場、凜桜はどう返していいのかわからずにただ俯いてはにかんでいるしかできなかった。