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すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~

第9章 知らされた距離感


そうして玄関先まで見送り、その足で住吉は何やら袋を持ってきた。聞けばトウモロコシだという。

「…BBQでもするか…」
「え?」
「社員で。納涼祭。少し早いかもしれないけど、忙しくなる前にな」
「いいですね!では時間や日程の調整も必要ですね…」
「いや、日にちだけ提示すればあいつらは何とでもする」

そう凜桜は言われ、そのままメールを入れようとしていた。

「…なぁ?」
「はい?!」
「当然凜桜も来るだろ?」
「へ?」
「…来ないの?」
「…え、っと。参加しても?」
「いいに決まってんだろ」
「…ありがとうございます!」
「その代わり聞きたいんだけど」
「はい!なんでしょう!」
「さっきの『自分は彼女じゃないとか何とか』って何?」

そう急に振られた凜桜は住吉の視線を交わすことは出来なくなって居た。

「…あれは…その」
「ん」
「…彼女…かと思って…」
「ッッゴホ」

最後の一口を飲みかけた住吉はそのコーヒーを思わず吹き出した。

「え、あ…拭くもの!」

そういえば凜桜は慌ててタオルを取りに行く。持ってくれば住吉にすぐ渡す。

「…すみません、変なこと言って…」
「ほんとだな…」
「…ですよね…」
「てか、そんな話どこから来た」
「……え、っと」
「どうせあの三人の誰かから聞いたんだろうけど」
「いえ、違うんです。」
「じゃぁ、どこからそんなこと聞いたわけ?」

自覚のない寝言の事、そう簡単に言えればどれほど楽かわからないものの、それでも凜桜は続けるしかできなかった。

「…実は…昨日の夜、住吉さんがソファで寝ちゃってて…」
「…は?」
「はい、そこでその…女性の名前…を言っていたので…」
「女性…ん?誰?」
「……それは…」
「何て名前?」
「・・ッッ…『ゆりか』って…」
「…フフ…それか…」

そう小さく笑えば住吉は前髪をクシャりと掻き揚げた。
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