すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第8章 ただそこにいる意味
「分かったから、もういい。凜桜」
「あ、はい」
さっきの話…というのはすぐに解った。反論することも出来ないままに凜桜は住吉の前に立つ。
「…で?」
「…あの…軟禁というのは、ちょっと言い過ぎたのかもしれないです。」
「でもそう取れることをされたんだろ?」
「…ホテルで?」
「…ハァ…あとは?もう一気に話して?」
「モラハラは…聞いていると思います。で、強要はうちに来いが強くて、わいせつ未遂は、強要に+α的に行われ、まして…」
「…」
「拒めばまぁ、住吉君が私を捨てると」
「で、それを信じて拒まなかったと?」
「…それは…」
「分かった」
「あの、代表!」
「もう一度いう。この会社、俺の所にいる間は簡単には転職・退職できると思うな。」
「そーだそーだ!」
「で、んな言葉真に受けてヤられてんじゃねぇよ」
「やってはいません!」
「なんか話がすごい方向に行ってない?」
「ねー!代表!」
「あー、もう!琥太郎うるさい!」
「おっこられたぁ…」
後方で茶化されながらも真面目に話をしている住吉と凜桜。大きなため息を吐いて座りなおせば住吉は凜桜の目をじっと見つめた。
「…訴えを起こすなら起こして、勝てる要素は十分ある。どうする?」
「……そのお返事の前に1つ、お伺いしてもいいでしょうか?」
「ん、何?」
「あの話を聞いても、代表はまだ私を必要としてくれますか?」
凜桜の口から聞こえたのは最終確認、と言わんばかりの言葉だった。
「俺の話聞いてたか?」
「聞いてました。でも、最後にしっかりと聞かせていただきたいんです。あやふやなものじゃなく。」
「…必要だよ。会社としても、俺としても」
「……なら訴えは起こしません。大丈夫です。」
そうにこりと笑う凜桜の顔にはもう迷いは一切なくなって居た。