すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第8章 ただそこにいる意味
「ハッ…いくら社員と社長の関係といえど、プライベートも何もあったもんじゃないな」
「…どの口が言ってる」
「は?」
「いっておく。これは俺が自分の社員を守るための行動だ。お前が踏みにじってくれた心を少しでも直したい、そう思った」
「バカじゃないか、だったらなんでもっと早くに手を打たない」
「状況証拠だけで動くほど馬鹿じゃない」
「…プ…フフフ…ははは!」
いきなり笑い出したかと思えば川端は住吉の前で立ち止まる。
「…ならさぁ、住吉君。『交渉』なら問題はないだろ?」
「……ぁ?」
「凜桜ちゃん、正式に俺の所に来ないか?」
「……ッッ」
「給料は今の2倍は出す。そんな個人のプライベートやプライバシーを侵しているような所で、守ってもくれないような社長の元で働く意味はあるのか?」
「……おい」
「君は黙っていてくれ。今は彼女と話している。」
そういえば住吉の背中に隠れる様に仕向けられた凜桜を引き釣り出した川端。
「…君の意見の主張も、全部聞く。こんなSNSでしか自身の価値を見出せない男、戯言だけを並べて、時代遅れの言葉を平気で掲げるようなダサい男と一緒に居る価値は、君にはない」
そうはっきりと切り出してきた川端。もう住吉の事など一切眼中にない、といった様子の口ぶりだった。
「…にして…」
「ん?なんだい?」
次の瞬間だった。
パン!!
凜桜の右手は川端の左頬を捉える。思い切り振りぬいたため、部屋にはそれなりに乾いた音が響いた。
「…ッッ…お前…」
「私をバカにして…性欲処理に使おうと思うのはまだ耐えようと思った。侮辱されようと…いいと思った…」
「何言って…『だけど!』……ッ」
「…だけどこれ以上うちの社長を、住吉をバカにする、住吉仁を貶めるような発言をするならそれなりの処置を取らせていただきます!」
「フフ…ハハ…!暴行罪を適用されるのを知ってるか?」
「なら、モラハラ・軟禁・強要・わいせつ未遂…その他のを含めても今の1回ならおつりが出ますが?」