すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第8章 ただそこにいる意味
そのままエレベーターに乗り6階に向かう。チン…っという軽い音を聞いてそのまま降りていく。突き当りの部屋の前に来れば秘書課の女性に変わる受付嬢。
「ありがとうございます」
そう住吉はひと言添え、案内を変わった女性に視線をやった。しかし顔色一つ変えることなく、秘書課の女性は戸をノックして住吉が来たことを伝え、中に入ることはしなかった。
「これはこれは、本当に住吉社長自らとは…」
「…ッッ」
「能書きはいらない」
すっと凜桜を背中に隠す様にして住吉は一歩、二歩と近づいていく。かと思えば川端のデスクに乗り上げ、首元をグッとひねり上げた。
「…いい加減にしろ。これ以上うちの大事な社員に手ぇだす真似してみろ。ただじゃ置かねぇよ?」
「…ック…」
川端はバッと住吉の手を振り払い、反動でデスクから立ち退く。
「これ以上の暴挙をするなら法的措置を取らせてもらうぞ?」
「…ほう、暴挙、ねぇ。だったらお前がうちの社員にしたのはどうなんだ、ぁ?」
「…根拠は?証拠はあるのか?」
「出さなきゃ分かんねぇのかよ」
「まさかさっき聞いた電話がとかいうんじゃねぇだろ?たかがそれだけで」
それを聞いた住吉はすっと内ポケットから一本のボイスレコーダーを出し、再生を押した。
『この間の事、怒ってはいないかい?』
『もう…終わった話だと思いますので…』
『終わる?クスクス…君と住吉君の関係。見ていてわからないとでも思ったか?ーーーー』
「まだ続けるか?」
「なんで…あの時の…」
「最後の最後までうちの大野はこれの存在を隠し通した。録音してないと言い張ってな。」
「じゃぁ、それはどこから!」
「隠されたものを俺が取り出した。」
そういう住吉の目には怒りの火しか点っていなかった。