すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第7章 スピーカー越しの真実
『今って周りに誰かいたりする?』
「え?」
ふと住吉をちらりと見れば小さく左右に首を振る住吉を見てとっさに凜桜は『いいえ、一人です…』と答えた。
『そか、ならよかった。凜桜ちゃんさ?この間、まだ話してる最中に帰っちゃったから、渡したいものも渡せなかったし。今夜、うちのラウンジに来てくれるよね?』
ぞっとするような声が…ーーー住吉との二人きりの空間に響いた。甘く、そして馴れ馴れしくも、まるで何度も同じように交わされた約束の様に。
『ラウンジでさ、食事をした後にでもいいし、それかエグゼクティブスウィート、部屋とってるんだ。そこでルームサービスでも構わない。』
「あの、ですからもうそういうのは…」
『断れる立場だと思ってるの?…そっか…破城してもその責任が取れるんだ?君が…?』
「それは…」
『無理だろう?それなら俺に守らせてくれればいいだろう?いずれ君はきっと住吉君にも捨てられるんだ。今からでも遅くない。静かに、二人きりで過ごそう。解るだろ?君の価値が。』
「…ッッ…」
パサパサ…っと凜桜の手から書類が落ちていく。どれだけ我慢しても、続いて来るこの言葉…それを住吉に聞かれてしまった。…知られてしまった……もう…
「…ッッ…やめてください…川端社長…」
『クス…前見たような顔、してるのかな…あれはあれで僕好みだか『ダン!!』……どうかした?凜桜ちゃん』
川端の言葉を遮る様にして住吉が机を思い切り叩く。その音に凜桜の体もびくりと跳ねる。
「もういいでしょう、川端さん」
『……す、みよしさん?』
「ずっと聞いてんだよ、こっちは。てか今からお前の所に俺が行く。待ってろ」
『……プッ…ツーーー、ツーーーー』
あっけなく切れた電話。それと同時に凜桜は膝から崩れ落ちていく。
「…どうして今まで言わなかった。」
「…いえ、ません…でした…」
「どうして!」
「…ッッ…」
「言って、理由があるんだろ」
冷たいようで、本気で心配している声だった。