すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第7章 スピーカー越しの真実
躊躇う事無く住吉はそのボイスレコーダーの音量を下げて耳元に近づけた。そのままスタートボタンを押す。
ガサ、ザ…ーーーー
少しばかり音声が聞き取りにくい…しかし、遠くの方で何か聞こえる。
『ーーしておりました、川端様』
『よろしく頼む』
『かしこまりました』
レストランに入った場面からだろうか、周りが静かな事もあってだろう。音を拾いだした。
「…まぁ、予約なしなわけがないな」
そうして聞いている住吉。ガチャっと遠くで扉が閉められたのだろう。
『さぁ、座って?』
なぜかボウイではなく、川端の声がする。そこからは凜桜の声で業務の内容確認の報告が入ってくる。
「…問題、ないか…?」
自身の思い過ごしだろう…そう思っていた。どれくらいか、凜桜の声だけが入っている。
『…ーーーこちらですべてはお間違いございませんでしょうか?』
『あぁ、そうだね』
それから少しの間があった後、おもむろに川端の声が聞こえだす。
『この間の事、怒ってはいないかい?』
『もう…終わった話だと思いますので…』
『終わる?クスクス…君と住吉君の関係。見ていてわからないとでも思ったか?彼は君に「そういう視線」は向けていないだろう?』
ふいに自身の名前を呼ばれ、レコーダーを持つ手がピクリと震える。そこからは凜桜の声とは打って変わって川端の声、あの残酷までに冷たく突き刺さる言葉が住吉の耳にもはっきりと届いて来た。