すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第7章 スピーカー越しの真実
そういわれて凜桜は諒に確認をして、住吉からのお使いを頼まれた。会計はいくらになるかわからないからと帰ってきてからの返却とし、凜桜は少し離れたモックに向かっていく。窓からしっかりと凜桜が離れたことを確認した住吉は、ガタっと席を立った。
「…代表?」
不思議に思った諒だったものの、その住吉の表情からは深入りができなかった。
「…ふざけんなよ、たく」
そうしておもむろに凜桜のデスクに向かえばどさりと椅子に腰かける。引き出しを開け、確認をしていく住吉。
「…あ、あの?代表?」
「何?」
「どうかしたんですか?凜桜ちゃんのデスクですけど…」
「あぁ、知ってる。」
しかし確認していくものの、手掛かりになるものは見つからない。家か…?だとしたら隠せそうなところはそれほどないはずだ…そう考えている住吉だった。
「…?」
最後に手を伸ばした引き出し。そこには鍵がかけられていた。
「…あー、それ鍵がないと開かないですよ?」
「知ってる」
「でも鍵って凜桜ちゃん持ってるんじゃ?」
「舐めんなよ」
そういえば自身のデスクから小さな鍵が数本ついたリングを持ってくる住吉。
「…まさか…」
「俺のオフィスだ、俺が予備持ってねぇわけないだろ」
「…こわ…」
「鍵はないものと思っとけよって話だ」
そう言いながらも鍵を差し込み回せばカチっと小さな音がする。するっと軽すぎるほどの引き出しを開ければ他には何もなく、ただ1本のボイスレコーダーが出てきた。
「…なんすか?それ」
「ビンゴだ」
「……代表?」
代わりに、と言わんばかりに先ほど渡してきたばかりの新品のボイスレコーダーを入れておく。
「…同じじゃないですか?」
「コレ、俺の」
「へ?」
訳が解らない…と言わんばかりの諒の表情を見ながらも『入るなよ?』と言って小さな角部屋に入っていく住吉だった。