すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第6章 押し殺す声
住吉がある行動に出たのはある日の夜…この2~3日は川端からの連絡がなかった。事務所には残業で残っている住吉と凜桜のみが残っている。
「…(この空気…重すぎる…)」
「…凜桜ちゃん?」
「あ、はい」
「ちょっと」
そうして住吉に手招きをされた凜桜は住吉のデスクに向かっていく。視線を下げたまま、住吉は凜桜に問いかける。
「一つ聞きたいんだけどさ?」
「はい」
「・・・」
「あの、代表?」
「近々川端社長と会う事は?」
「…いえ、今の所は…」
「そうか」
「あの、何か不都合でも…」
凜桜自身、自らこの事は聞きたくはない言葉だった。それでも現状を悟られるくらいならいっそのこと賭けに出る必要もあった。
「…いや。」
そういえば住吉はコト…っと1つボイスレコーダーを取り出した。
「…あの、それは…?」
「次、先方に呼び出されたら会う前にこのスイッチ押してから会え」
「…え、それは…どうして…」
「どうして?」
「……いえ、解りました」
そうして少しだけ震える手を悟られないようにすっと住吉のデスクから取り、凜桜は自身のデスクに戻って仕事を再開させた。
そしてそこから1時間後…凜桜は先に退社した。残された住吉は小さくため息を吐いた。
「…同じ家に戻るんだから一緒でもいいだろうに…」
しかしそう呟いている最中、事務所の下から3階にある明かりを下から見つめている凜桜の姿を知る由もなかった。
「…住吉…さん…」
キュッと借りたボイスレコーダーを握りしめて、思い立ったかのように凜桜はAmozonサイトを開いたのだった。