すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第6章 押し殺す声
すぐに着く事を知った凜桜はどことなくホッとしていた。
これで住吉さんにばれることもない…
今となっては住吉に事の事実を知られる事が何よりも怖くなっていた。恋愛感情の隙とかじゃない…好意はある…誰よりも…それでも、ただあの人の傍に居られるなら…
だけど…今のこの事実を知られたら…きっと自分は住吉の傍にいることは叶わなくなる…
「それだけは…いやだ…」
そう思っていた。
***
そして翌日…出社してすぐ。凜桜のパソコンには新着メールのランプが光っているのに気づいた。
「…ッッ…」
開けばそこには川端からのものだった。
『2日後、カルースホテルで。18時に』
短い文面だった。それだけで凜桜には何を意味しているかが分かった。こんなに早くに使う事になるとは正直思ってもみなかった。
「…でも…」
本当は行きたくない。今までの事もあるけれどそれ以上に…
そんな時だ。無邪気な顔をして琥太郎が凜桜の元にやってきた。
「凜桜ちゃん!明後日さ!夜都合空いてる?!」
「明後日…」
「そうそう!ほら!諒さんも!誘って!」
「空いてる?」
空いてる!と即答したかった。それでも引っかかっているのは川端のあの言葉…
『秘密で、ね?』
「誕生日でしょ!」
「…はい、一応」
「一応って、もしかして予定あったりする?」
「実は…」
そうして川端との約束というのを伏せたまま、誘われていることを伝えた凜桜。そこに住吉も帰ってきた。
「代表ぉぉ!!」
「何だよ、急に」
「凜桜ちゃんの独り占めはよくないと思います!」
「何いってんの琥太郎、お前は」
「だぁって!折角の誕生日お祝いしたいって誘ったら先に誘われてますって!!」
「……ぁあ?」
そう小さく返事をすれば住吉はちらりと凜桜へと視線を移す。