すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第6章 押し殺す声
「…・・?これって川端商事のですよね?」
「あぁ。」
「…代表取締役って…代表と一緒?」
「それ以外に何があんだって」
「…で、なんでその人を調べてるんですか?」
「いや、ちょっとな…」
住吉は川端の事を調べ始めていた。川端の経歴から近年の取引先。データの出し方によっては起訴歴から人間関係迄情報を集めていた。
「えぇぇ?これって…やばくないですか?」
「…まぁ、普通で考えたらな?」
「普通とかの問題じゃないですって!凜桜ちゃん、大丈夫かな…」
自身が思っていることを琥太郎は素直すぎるほど簡単に口にする。
「…琥太郎」
「なんですか?」
「凜桜にはいうな」
「……え?」
「だから!彼女にはいうな」
「……さっき…『凜桜』って呼び捨てにしてた?ねぇ、千紘君!聞いたよね1」
「そっちかよ」
「聞きましたけど…代表?」
「言葉のアヤだろうが…たく…」
『ふぅぅん』と意味深な様子で琥太郎はにやにやとしている。もう一度住吉は琥太郎に釘をさしていた。
「分かりましたよぉ…」
「本当に解ってんだろうな…」
「…はい!!」
手を額に当てまるで敬礼のポーズをとる琥太郎に多少の不安を残しつつも住吉は情報を集める。
「…(まさか、な)」
相手先の接触した若い女性秘書や担当者がここ数年で移動しているのが浮き彫りになってきた。
情報は静かに…しかし確実に住吉の手中に集まってくる。加えて凜桜のあの表情、そしてそれが曇り出したのは、住吉と距離を取ろうとし始めたのは『川端との接触』を境に起こっていたこと…すべてが一本の線に繋がろうとしていた。