すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第6章 押し殺す声
家に入ればすぐに凜桜は住吉に断りを入れて入浴に入っていく。
「…どうかしたんだろうけど…」
気に留めていない様で、気になって仕方がなかった住吉。いつもと明らかに態度、様子が違う事に対して追及をするべきか…住吉は迷っていたものの、少しだけ待つことにした。
シャワーの音が止んだ後、水音が全くしなくなっていた。
「…大丈夫か?」
しかし時期にカタン…と扉が開いて浴室から出てきた凜桜。その目はどことなく赤かった。
「…おい」
「あ、…はい」
「…何かあったか?」
「いえ?何もありませんよ?」
必死で笑顔を取り繕う凜桜。それを見て『そうか…』と呟いていた。
「あ、そうだ。代表…?」
「ん?何」
「……今日はちょっと…掃除機は明日かけますので…」
「いや、寝ろ」
「でも…」
「掃除だって時と場合による。おかげと毎日やってくれてるから問題ない」
「……すみません」
「謝ることじゃない。それより一人での食事で疲れたんだろ。次は俺も行こうか?」
「いえ!大丈夫です!!」
ドキッとしたものの、はっきりと即答した凜桜。
ばれる訳にはいかないんだ…
そう心が叫んでいた。しかしその叫びは凜桜の喉元できゅぅっと締め付けられるようにして住吉の元に届くことはなかった。
***
それから翌日。いつものように始まる業務。何もなかったかの様に虚偽にも近い報告書をまとめ、住吉のデスクにそっと置いた。話の内容までは記載をしていない。場所、開始時間やわかれた時間…それらを記載して印刷をかける。
半日仕事に追われ、ようやく昼食をとれるかという時だった。凜桜は事務所を後にして外に食べに向かっていった。
「…ハァ…」
「代表?どうかしたんですか?」
「いや、ちょっと…」
そう答える住吉の横から琥太郎がパソコンを覗き込む。