すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第5章 捧ぐは、忠誠か…
一時間、一時間半と仕事の話を詰めていく。その間も凜桜は聞き逃さないように、と必死にメモを取り、二人の距離感を見つめていた。
「…ハァ…ようやく話がまとまりましたね」
「そうですね。では今回も以上で大丈夫でしょうか?」
「はい、どうぞよろしくお願いいたします。」
そうして住吉、川端両名ともにふっと笑みをこぼした。そうして座敷を後にすれば住吉は一旦トイレ…とその場を離れる。その時だった。
「大野さん、だったね」
「あ、はい。今日はありがとうございます!」
「いえ、こちらこそ。悪かったね、君がいると知ってれば資料もう一部用意したんだけど…」
「大丈夫です。住吉のを時々見させていただいていましたから」
そう笑う凜桜。それを見て川端は胸の内ポケットに手を入れた。
「…コレ、僕の名刺」
「あ、えと……」
あたふたとしながらも凜桜も遅くなってしまったと思いながら名刺を差し出す。
「…私の方こそ…すみません…遅くなって…」
「大丈夫。これからもよろしく。それと、今度はぜひ二人で食事でもどうかな。住吉さんの秘書だと僕も興味ある。」
「興味、ですか?」
「どれだけ優秀なのかってね」
裏表なんて全くない様に笑う川端。その雰囲気に凜桜は気が緩んだ。
「…もしご迷惑でなければ」
「迷惑なんて思ってない。じゃぁ、また」
そうして住吉が戻るのと同時にそれぞれの方向に向かって分かれていった。