すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第4章 思わぬコト
「…出ねぇか?」
そう呟いた時だった。
『はい、志村です』
「ん、だろうね」
『あの…代表…』
「さっきさ?琥太郎から電話あって、どうかしたの?」
『車…ぶつけました』
スピーカーになっているままでの会話だったためにその場にいる三人全員がその事実を一瞬にして共有した。
「…でさ?なんでそれを、琥太郎から聞かされんの?お前からいうもんじゃない?」
『あ、そうなんですけど…その』
「まさかと思うけど対人じゃねぇよな?」
『違います!物損ですけど、後ろが開かない位ぶつけて…』
「は?」
住吉が言葉を失うのは至極当然だった。少しぶつけたくらいであればバックが開かないなんてことはありえない。
「……で?」
『…はい?』
「車は動くの?」
『動きます!』
「戻ってきて」
『今からですか?』
「時間的には終わってるだろ?商談」
『はい、まぁ…』
「ならすぐ戻って、」
そう言い切る住吉。
「ちょっと行ってくる」
「あ、はい」
「はい、じゃない凜桜ちゃんも来て?」
そういわれながらクシャりと前髪を掻き揚げながらけだるそうに住吉は歩き出す。
「…諒君…大丈夫?」
「知らない…クスクス…」
「笑い事?」
「凜桜ちゃん!早く!」
「あ、はい」
そうして連れていかれる凜桜。気が気じゃなかった。
「……・・あいつら…社用車で行きやがった…」
それだけ確認すると『すぐに保険会社に連絡して』と凜桜に話を振る住吉。その片手間に琥太郎に電話をかけていた。