すき…キス…ミルフィーユ~秘書は代表と絶賛同居中!~
第3章 ようこそ、俺の家に…
サーっと水音がする。それを聞いているうちに凜桜はうとうととし始める。気付けばソファで眠ってしまっていた。
20分ほどした頃か…住吉が浴室から出てくると大きすぎるため息を吐いてクシャリと前髪を掻き揚げる。
「…思った通りじゃねぇか…」
ベッドで寝ろと言っていたはずが恐らくそのままソファで寝落ちをしているだろう…そう思っていた予感はずばり的中していた。
「…全く…」
躊躇う事も無いままに住吉はグッと体を持ち上げて横抱きにすればそのままベッドに連れていく。優しく下ろせば離れようとするものの、クン…っとローブが引っ張られる感覚に陥り視線を落とせばまたしても大きなため息がつかれた。
「…おい、離せって…」
「…ッン……いか…ぃで…」
そう呟く凜桜は起きているのでもなく、ただの寝言だった。それでも住吉が見たものの中に、ふと一筋の涙が見えたのだった。
「…どんな夢見てんだか…」
そっと手を離せば頭を撫で、涙の跡をぬぐってやる。
「…少し俺も寝るか…」
ゆっくりと離れてソファに向かっていく住吉。そんなことになっているとも知らない凜桜だった。
***
明け方にゆっくりと目を覚まし、トイレに向かう住吉。その足で戻ったのは自身のベッドだった。ギシりと音を立て、心地よいスプリングが住吉の体をも包み込む様にして横たわる。
「…ン…」
寝返りを打った凜桜は心地よい鼓動とぬくもりに体を寄せた。それに住吉も寝ぼけながらグッと背中に腕を回して抱き寄せる。
この状況に気づいたのは目覚ましの音が鳴ってからのことだった…・・・