第2章 カノジョ 乙夜 影汰
「エマちゃん!!」
外は雨が降っているにもかかわらず傘もささずに逃げるエマちゃんの後を必死に追いかけた。
意外と足が速いエマちゃん、俺マジで走ってんのに…
っていうか風邪引いちゃうじゃん…
一瞬だけ見えたエマちゃんの顔が脳裏に焼き付いていた。
「なに?」
「影太、やっぱり私たち寄り戻さない?」
「自分が浮気した癖に?残念だけど、俺もう好きな子出来ちゃったの」
「ッ…分かった…じゃあ最後にハグだけしてくれる?そしたら諦めるから…」
「はぁ…しゃないな」
元カノが突然教室に現れた。
聞けば彼氏に振られたんだとか…
やっぱり俺がいいとか言い出してきた。
でも俺はエマちゃん一筋だし…
無理だと言えばハグしたら諦めるって言うから…
だからハグした。
そしたら…
「ちゅっ)ッ!//」
「影太好き…」
突然すぎることに驚く俺…
まさかエマちゃんに見られてたなんて思わなかった。
小さな物音がして振り返れば…
「ッエマちゃん!?」
エマちゃんは泣いてた。
大粒の涙を流してた…
理由は分からない、でも胸がめっちゃ締め付けられた。
そして走り去るエマちゃんのあとを俺は追いかけた。
キスされたこと謝んなきゃ…
俺はエマちゃんが好きって言わなきゃ…
なんで泣いてんの?
俺の感情はごちゃごちゃだった。