第18章 仔猫 千切 豹馬
『んっ…』
俺の腕の中でぐっすり眠っているエマ…
"ずっとそばにいるから…"
「んとお前には敵わねぇよ」
俺が欲しい言葉をいつもエマはくれる。
サッカーから距離を置いた途端、周りは俺から離れていった。
でもエマだけは違った。
エマは他のやつとは違ぇ…それは分かってる。
それでも不安だった。
いつか他の男のとこに行くんじゃねぇかって…
でも…
『んんっ…好き…ひょーま…』
「フッ…俺も好きだ。エマ…」
そんな不安は今日で吹っ飛んだ。
おまけに漸く気付いたんだ…
「お前だけは絶対に離さねぇよ…」
エマだけは絶対に失いたくねぇってことに…
そっと眠る仔猫の瞼にキスを落とし、満足げな顔をする千切…
この数時間後、千切は知ることになる。
エマの友人の手のひらで全て転がされていたことに…
____fin___