第2章 カノジョ 乙夜 影汰
パシッ)
「捕まえた」
『ッ!!嫌、離してっ!』
「嫌、なんで逃げるの?」
『ッ!別に逃げてなんか…ッ!?///』
掴まれていた腕をグイッと引かれれば…
ポスッ)
乙夜くんの胸の中に閉じ込められた。
耳元で聞こえるのはドクドクと鼓動を立てる乙夜くんの心音…
逃げようとするも後頭部と腰に腕を回されがっちりとホールドされているため動けない…
「キスは向こうが勝手にしてきた」
雨の音が大きいけど、乙夜くんの声がよく聞こえるのは彼の胸元に耳をあてがわれているからだろう…
『ッ…でも抱き合ってた…』
「より戻そうって言われて断ったらハグしてって言われたの。そしたら諦めるって…だからハグした」
『嘘つ…んぅ//』
嘘つきって言いたかった。
でもそれは言わせてもらえなかった…
何故なら…
「んっ…ちゅッ)俺、マジの本気でエマちゃんが好き…キスされたことはごめん。油断してた。でも俺が好きなのはエマちゃん。こんなに夢中になったのはエマちゃんだけ…マジで」
『ッ…ほんとに…?///』
「ほんと。ごめん、ほんとは付き合ってからキスするつもりだったのに…これじゃすぐに手ぇ出しちゃう奴じゃ…んっ!///エマちゃん…?」
乙夜くんの瞳は真剣だった。
彼が今まで嘘をついていなかったのも分かっている。
でも怖かった、捨てられるのが…
本当はわかってた。
私は彼が…乙夜くんのことが…
『ちゅっ)私も乙夜くんが好き…』