第2章 カノジョ 乙夜 影汰
『はぁ…』
何回断れば諦めてくれるんだろう…
私は両親の転勤に伴って、高校2年からこの学校に転校してきた。
そして隣の席になったのが乙夜くんだった。
目が合ったと思えば突然…
「好き、俺と付き合って?」
いきなりすぎる告白、そして周りはまただみたいな顔をしている。
丁重にお断りしてその日は済んだものの、それから何度も告白されている。
聞いた話によれば、つい最近まで3年の先輩と付き合っていたんだとか…
私はチャラ男が大嫌い、元カレがそうだったから。
浮気され、結局は捨てられたのだ。
だからチャラ男は信用できない。
でも…
あんなに何回も断っているのに何度も何度も告白してくれる彼に心惹かれている自分もいた…
まだ慣れない学校生活で不安もある中、乙夜くんは毎日声をかけてくれた。
彼が絡んでくれることで、彼の周りにいる人たちとも自然と打ち解け、友達もできた。
こんなにも早く友達が出来たのは紛れもなく、乙夜くんのおかげだ。
それに今日だってあんな壁ドンされてあんな距離まで近づかれて…
咄嗟にビンタしたものの、内心はドキドキだった。
元から整った顔だと思ってたけど、あんな近くで見ても彼の顔は綺麗でちょっぴり羨ましかった。
鞄からスポドリを取り出して乙夜くんの頬にあてがった。
ほんとは今日サッカーの練習を見に行こうと思ってたから用意していたのだ。
少し前…
"ねぇエマちゃん、俺のサッカーしてるとこ見てよ!絶対惚れっから"
とお誘いを受けていたのだ。
実は彼がサッカーをしているところはちょこちょこ見かけていた。
ルールはよくわからないけど、サッカーをしている乙夜くんは凄くかっこよかった。
本人には秘密だけど…
いつもはチャラチャラしてるのに…
普段間違った彼を見てときめいたのもまた事実。
だけど…
『やっぱり…チャラ男は信じれない!』
その勘はやはり当たっていた…