第10章 ❁雨の日 蜂楽 廻
「白雪さん、好きです!付き合って下さい!」
『ごめんなさい、私彼氏いるから…ッ!い"っ!』
放課後、同じクラスの男子に突然告白された。
彼氏がいるからと断るも、突然腕を掴まれ壁へと押しつけられた。
「蜂楽だろ?あんな変わった奴のどこがいいんだよ…い"って!!」
男子の言葉に腹が立った私は渾身の蹴りを男子の股間目掛けてお見舞いしてやった。
『ッ!全部よ!!廻はあんたみたいに乱暴なことしない!』
あまりの痛みにその場に倒れ込み悶絶する男子に捨て台詞を吐き捨てその場を去った。
教室へと戻るとそこには…
「あっ、エマ〜!どこ行ってたの?早く帰ろ?」
『ごめん、ごめん!トイレ行ってた!うん、帰ろ!』
「…そっか!じゃあ行こ?」
にっこりと眩しい笑顔を向けて手を差し出してくれる廻、私はその手に自分の手を重ね合わせ、私たちは教室を後にした。
「すーごい雨だね〜」
『ほんとにね』
今日は朝からずっと雨だ。
傘は2人とも持ってるけど、1つの傘に2人で入って帰る。
廻がお互い傘さしたら遠いと言ったからだ。
実は私も同じこと考えていたから嬉しかった。
「俺雨嫌い〜、サッカー出来ないし!」
『私は…雨の日も好きかな』
「?なんで?」
『だって、雨が降ったら部活お休みじゃん?廻との時間は増えるから…』
本心だった。
廻は基本ほぼ毎日部活、勿論サッカーをしている廻を見るのも好きだけど、やっぱり2人の時間は少ない。
雨の日は部活が休みになる。
廻と少しでも長くいれるから、雨は嫌いじゃない。