第9章 やきもち 凪 誠士郎
朝からずっとモヤモヤしてた。
だって最近…
「おはよ!エマちゃん!」
『おはよ、凪くん、"玲王"くん!』
やけにレオとエマが仲良いから。
それにエマは前まではレオのことは苗字で呼んでたのに気付けば"玲王くん"と下の名前で呼んでるし…
俺だってまだエマから下の名前で呼ばれてないのに…
何故かエマとレオが仲良くしてると胸の中がモヤモヤする。
なんで?
自分でもこんな気持ち初めてだからどう処理するべきなのか分からない。
あー、めんどくさい…
考えるのが面倒くさいからその感情には蓋を閉めてた。
でも…
今日のあの出来事だけは我慢できなかった。
『きゃっ…ッ!』
「うわっ!大丈夫か?…ッ!//ごめん!」
『玲王くんありが…あっ!//こちらこそごめんね!!//あ、ありがとう』
エマが階段から落ちそうになったのをレオが抱き止めてくれたのだ。
でもその時…
レオとエマの距離は鼻先が触れ合うほど近かった。
事故…
なんならエマに怪我ないのだからレオには感謝しなきゃいけない。
でも、俺は我慢ができなかった。
顔を真っ赤に染めるエマ…
その顔は俺だけのモノなのに…
気が付けば俺はエマの手を掴み取っていた。
『な、凪くん…!?』
「お、おい!凪!!!」
「レオごめん、ちょっとエマ借りる。ちゃんと部活は行くから…行くよ、エマ」
もう無理だ…
俺の頭の中はエマを俺でいっぱいにしたいという欲で溢れていた…