第6章 俺のモノ 糸師 凛
2年前、凛ちゃんと冴ちゃんは喧嘩した。
それ以来、凛ちゃんは冴ちゃんの話をしなくなった。
冴ちゃんに何があったか訊けば、アイツに現実を叩きつけただけだ。の一言のみ。
ほんとに似たもの兄弟だ。
まぁそんなこともあり、極力凛ちゃんの前では冴ちゃんの話をしないようにしているのだ。
『結構面白かったね!そろそろ寝よっか、あっ!私トイレ行ってくる!』
映画を観終わり、スマホをソファーに置いたままトイレに行った私…
これがいけなかったのだ。
『あれ?凛ちゃんまだ部屋行ってなかった…グイッ)ッ!』
気が付けば私は壁に押し付けられていた。
凛ちゃんの顔は俯いて見えない、でも分かる。
凛ちゃんが怒っている。
『り、んちゃん?』
「お前は誰のモノだ?」
『えっ?…あっ…』
目の前に突き出されたのは私のスマホ。
そしてスマホの画面に表示されている名前は…
「いつから糞兄貴の女になったんだ?」
『ッ!』
冴ちゃんの名前だった…