第6章 俺のモノ 糸師 凛
『凛ちゃん、おかえりなさい!』
「何回言わせる気だ、その呼び方止めろ」
『昔からなんだしもう無理だよ、それより!ただいまでしょ!』
「はぁ…ただいま」
『ふふ、おかえりなさい!!』
凛ちゃんがJFCの招集されて数ヶ月が経ち、昨日のU-20の試合…
凛ちゃんと冴ちゃんが戦う日がくるなんて…
サッカーのことはよく分からない、だけど本当に凄かった。
凛ちゃんも冴ちゃんも凄くカッコよかった!!!
試合の余韻に浸る私にメッセージが届いた。
"今から帰る"
久々の恋人からのメッセージは淡白なものだ。
でもちゃんと連絡をくれるところは凛ちゃんらしい。
付き合ってからというもの両親が海外出張の我が家で凛ちゃんはほとんど過ごしている。
っと言っても我が家と凛ちゃんの家はお隣同士、凛ちゃんと私は恋人であり、幼馴染なのだ。
待ってるとメッセージを返し、彼の帰りを心待ちに待っていた…
帰ってくるや否や、そそくさとシャワーを浴びる凛ちゃん。
久しぶりの恋人の再会を喜ぶそぶりすらしないのはなんとも彼らしい。
友達にもよく心配されるけど、もう15年の仲だ。
そっけなく超ドライな凛ちゃんだけど、実は結構優しいとこを私は知っている。
だから全然気にしてない。
シャワーから上がれば、お決まりのプロテインを飲み、ストレッチをする。
その間に私は食事の用意をするのが基本のルーティーンだ。
一緒に食事をして、久しぶりに一緒にホラー映画を観て過ごした。
敢えて昨日のことは何も言わない。
凛ちゃんからも何も話してこないってことはまだ冴ちゃんとは仲直りできてないってことだから…