第5章 狼さん 氷織 羊
『羊くん?どうしたの…?』
さっきまで一緒にゲームをしていたはずなのに、今私の目の前は羊くんの顔でいっぱいだ。
ここでようやく自分は羊くんに押し倒されていると言うことに気付いた。
羊くんは俯いている為、表情が分からない。
もう一度名前を呼べば…
「なんで烏からLINEがきとるん?」
『え…?』
チラッと視線をスマホに向ければ表示されている名前は烏くんだった。
実はもう少しで羊くんの誕生日なのだ。
プレゼントは毎年聞くも何でもいいの一点張り、勿論贈ったプレゼントは喜んでくれるんだけど、きっと今年もそう言う。
だから今回はなにも聞かずにサプライズにするつもりなのだ。
でも、付き合って4年も経てばプレゼントもネタ切れ…
それで意外と羊くんのことをよく分かってる烏くんに相談したのだ。
プレゼントの候補をいくつかピックアップして連絡するとLINEを交換した訳で…ちょうどそのLINEが来ていた模様…
なんとも最悪なタイミングだ。
いつもより少し声のトーンが低い羊くん、これは多分怒ってる…
なんて答えようかと考えていると…
『ッ!//』
「ちゃんと答えてや、なんで烏からLINEきとるん?」
クイッと顎を掴まれ、顔を覗き込まれる。
綺麗な瞳は少し熱が篭っていて、不覚にもきゅんとしてしまう…
『えっと…その…っんぅ!///』
「ゲームオーバーや、エマ。お仕置きや…」
羊くんの瞳が獲物を見つけた肉食獣のようにギラリと光ったのであった…