第3章 お嬢の彼女 千切 豹馬
気が付けばエマとは喧嘩が増えた…
顔を合わせるたび、エマはサッカーから離れようとする俺に諦めるなと何度も言ってきた。
それが正直すげぇ辛かった。
あの日もそうだった…
『豹馬!なんで部活サボったの!』
「ッ別にいいだろ…」
『よくないよ!エースストライカーになるんでしょ!?』
「…だろ…」
『え…?』
「走れねぇ奴がストライカーになれる訳ねぇだろ!!」
言っちまった…
つい感情をむき出しにしちまった。
『ッ…豹馬のバカ!!!』
それだけ吐き捨てエマは走り去ってしまった。
あん時エマは泣いてた。
その顔は今でも脳裏に焼き付いてる。
追いかけようか迷った…
結局俺はエマを追いかけることはしなかった。
怖かった、エマに拒絶されるのが。
自分から突き放して何言ってんだって感じだけど。
そしてその日、ブルーロックから通知が来たのだ。
これでやっとサッカーを諦める理由ができると思って参加した。
諦めるために来たのに…でもまだ俺にはサッカーへの気持ちがあったことに…潔たちのお陰で気付くことができた。
そして今になってエマがあそこまで口煩くサッカーを諦めるなと言ってきたのは俺の気持ちを分かってたからなんだとやっと気付いたのだ。
それなのに俺は…エマに酷いことを言っちまった。
U-20との試合、姉ちゃんと母さんは見つけたがエマはそこにはいなかった。
仕方がねぇっちゃねぇ。
エマにはブルーロックに参加することを伝えずに来たのだから…
言おうか迷ったものの、喧嘩した直後で言い出しづらかったから後から伝えようと思っていたのだ。
然し、スマホを没収されてしまい連絡することが出来なかったのだ。
試合に出るってことは多分姉ちゃんから聞いてるはず、でもそこにいないってことはエマはかなりご立腹ということだろう。
帰ったらすぐ謝ろう…
そんでもう一回サッカーをやることを伝えよう…