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【DC】短い夢を見た【諸伏高明】

第1章 諸伏警部と陽気な彼女


「この人見たことある……」
「ん? 私たち初めましてですよね?」
「会うのは初めてだけど、さっき諸伏くんが見てた動画にいたのよ!」
「はあ? 気のせいじゃねぇのかよ」
「気のせいじゃないわよ! ね。貴方、音楽番組でバックダンサーとかやってたりしない?」

 はた、と目を何回か瞬かせた彼女は合点がいったかのようかに「ああ」と声を上げる。今か今かと次の言葉を待つ上原さんに、秋穂さんはゆっくりとうなずいて見せた。

「出てますよ」
「やっぱり! あのアイドルのバックダンサーの人よ、敢ちゃん!」
「……そう言われてみれば」
「高明さん、もしかしてあの番組ここで見てたの?」
「ええ。一刻も早く貴方の勇姿が見たかったもので」
「あっは! あっきー私のこと好きすぎ!」

 裏表のない快活な笑顔につられ、私の口元も弧を描く。好き、などという言葉では言い表すことなどできないほど貴方を愛している──それは紛れもなく真実で、私にとっては今や当たり前でもある。

「署内でアイドルの動画見るあっきー見たかったなあ」
「アイドルを見ていたわけではありません。貴方を見ていたのですから」
「あらやだ、きゅん」

 あざとくウインクを決めながら、親指と人差し指を交差させてハートを描く彼女にきゅんとしているのは私の方なのだが、と抗議したくなる。たったそれだけのポーズで、私の心臓が早鐘を打っていることなど貴方はきっと知るよしもない。
 本当に罪作りな人だ。今も貴方の横を男性が通る度にチラチラと二度見していることに、果たして気づいているのだろうか。腹部がチラ見えしているその服装にも大いに問題はあるのだろうが。

「諸伏くんの彼女さんがテレビで活躍するようなダンサーだなんて……! 凄すぎるっ」
「私からすると警察官の方が凄いですけどねえ」
「ダンサーが凄いんじゃなくて秋穂さんが凄いんですよ。振り付けに衣装に、何でも自分でこなされますし、ここからそう遠くないところにダンススクールも構えていらっしゃいます」
「高明さん、貴方が神だったのか……もっと褒め称えてくれてもいいよ!」
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