第4章 観測されざる傷
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懲罰は幾度も受けた。写本室の利用を禁じられ、神学者との討論の席から外され、古代文献の写しを没収されたこともある。それでも私は、裏紙に式を書き連ね、ろうそくの火の下で考え続けた。まるでそれが、当然の応報であるかのように。
私を変えることは、誰にもできない。ましてや、修道院という枠組みで、私の信念を削ることなどできはしない。
だが。
それでも、彼女の声が私の耳に残っていた。
私を見つめるあの瞳と、「あなたを、失うのが怖かった」という告白。
あれだけは、どんな命令や教義よりも、私の心に深く染みついていた。