第2章 理性の裂け目
「先日のことですが、感情的になってしまいました。あなたに対して不適切な言葉を投げかけたこと、心からお詫びします」
あ……。
「……私も、あのときは少し意地を張ってしまって。謝るのは、私のほうです」
彼は目を伏せたまま、静かに首を振った。
「どちらが悪いという問題ではないでしょう。お互い、誤解もあった。ですが、できるならまた――穏やかに、言葉を交わせる関係でありたいと、私は思っています」
頬が熱くなるのを感じた。バデーニさんの口から、そんな言葉を聞くなんて。
「実は……」と、彼は少し照れたように視線を外す。