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軌道逸脱と感情の干渉について【チ。/バデーニ】

第2章 理性の裂け目



「患者様に親切にするのもいけないのですか?」
「〝親切〟と〝馴れ合い〟は、似て非なるものです。私は、あなたの真摯な姿勢を尊重しています。しかし、それが誤った印象を与えるのだとすれば、その振る舞いは再考されるべきです。大体、修道院という場で異性の診察など──制度そのものが誤っている。男女はそれぞれ同性に診察されるべきだ」

長い沈黙の後、彼女は口を開いた。

「……ご忠告ありがとうございます。ただ、今この修道院の診療所は女性の方が多くて、現状それは難しいのです」

彼女の声には、先ほどまでにない硬さがあった。初めてまっすぐ彼女の顔を見たとき、その眼差しには、明らかな苛立ちがあった。

「そうですか。……ならば私の言葉も杞憂だったということでしょう。失礼します」

私は深く頭を下げることもなく、その場を後にした。
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