第7章 沈黙の証言
一瞬、空気が止まった。
全員の視線が凪に集まる。
凪「“好き”って感じじゃなくて……“まだ自分のものだ”みたいな距離の詰め方に見えた。ああいうの、俺でもわかる」
潔「……それ、俺も思ってた。終わってるなら、あんなに踏み込まないよ」
國「というか、こっちが気を抜いてたら、勝手にまた“関係”作られそうな勢いじゃないか?」
千「、そういうの断れなさそうだし……また縛られたらどうするんだよ……」
重たい沈黙が落ちる。
潔「まだ決定的な証拠はないけど、これ以上見過ごすのは危ない。さん自身が、何も言わない限り動けないとしても……俺たちは目を逸らしちゃいけないと思う」
凪「うん。まあ、俺、こういうの面倒くさいけど……でも、があんな顔するの、見たくない」
千「俺も。なんか、最近、無理に笑ってる感じする」
國「とりあえず、俺は次に黒田さんが変な動きしたら止める。はっきりは言えなくても、周りが見てるって伝えるだけで、牽制になるだろ」
潔「……ありがとう。助かる」
それぞれの中に芽生えた“疑念”が、確信に変わるのは――もう、時間の問題だった。