第6章 やぶれない檻
共有スペースに戻ると、國神、千切、凪が待っていた。
一斉に視線が集まり、國神が最初に口を開く。
國「潔、天羽の様子はどうだった?部屋で休んでるのか?」
潔は少しだけ肩を落とし、疲れたように息を吐いた。
潔「うん、今はベッドで寝てる。でも……正直、心配だ」
千切が眉をひそめて尋ねる。
千「心配って、どんな感じ?」
潔は目を伏せ、言葉を選びながら答える。
潔「これはあくまで俺の推測だけど……怯えたり眠れなかったりしてる原因は、黒田さんかもしれない」
その言葉に、一瞬場が凍りつく。
國神も目を丸くし、千切も口を押さえて息を呑む。
凪は少し間を置いて、ぼんやりとした口調で言った。
凪「ふーん…どうして?」
潔「……さんが倒れたとき、黒田さんが来ただろ?それで運んだのは自分の部屋だった。医務室じゃなくて。そのときの様子が、どうも引っかかってて……」
凪「……それだけで?」
潔「いや、それだけじゃない。俺が部屋に迎えに行った時、さんは……黒田さんの声に怯えてた。明らかに、怖がってたんだよ」