第2章 新マネ登場
その時、ほんの一瞬だけ、國神の目が逸れたのを見逃さなかった。
視線は洗濯機へ、でもそれはまるで、何かを遮断するような動きだった。
潔(……あー、なるほど)
潔は心の中で軽く苦笑いした。
潔(自分、ちょっと邪魔しちゃったかもしれない。)
別に、そんなつもりじゃなかった。
いつも通り、普通に、話しかけただけ。
けど國神のあの反応――あれは無関心の顔
じゃない。興味がある。気になってる。
そんな反応だった。
そう思った瞬間、ほんの少しだけ胸がざわついた。
潔(来たばっかなはずだけど……國神がそんな風に思うなんて、一体どんな子なんだ?)
國神の隣に立ちながら、潔はの表情を横目で盗み見る。
ぎこちないながらも、一生懸命返事をしている。
まるでここで必死に"自分の居場所"を探しているように見えた。
潔(……なんか…確かに、目がいっちゃうかも…)
その時、不意にが小さく笑った。
その笑顔は、さっきのぎこちなさとは少し違う、ふわりとした柔らかいものだった。
國神が言葉を発することはなかったけど、洗濯機の操作ボタンを押す手が、ほんの少しだけゆっくりだった。
潔は静かに息を吐き、タオルを洗濯機に入れながら、何もなかったように振る舞った。
潔(ま、でも…そんなこと考えてる場合じゃないよな)
けど――心のどこかに、妙な引っかかりだけが残っていた。