第2章 新マネ登場
洗濯室での作業を終え、は洗濯カゴを片手に戻っていく。
まだ慣れない広い施設の中、少しだけ不安を抱えながらも、足取りは軽かった。
國神の優しさにほんの少し触れたは、ささやかな安心感を覚えた。
「……うん、なんとかできた」
小さく呟いてから、管理エリアへと戻る。
そこでは、アンリがデスクに資料を並べながら何やらまとめていた。
「あ、アンリさん。洗濯物、無事に終わりました」
ア「お疲れさま、ちゃん。初日から助かるよ」
アンリは顔を上げて微笑む。
その表情の裏には、どこか申し訳なさも滲んでいた。
「洗濯室、全然わからなかったんですけど、國神くんがいろいろ教えてくれて…助かっちゃいました」
は少し微笑んだ。
ア「へぇ、國神くんが? あの子、責任感強いからね。よかったね」
ふと、アンリが少し視線を外しながら呟く。
ア「……ほんとはね、私がもっと全部やれたらいいんだけど。でもやっぱり、ひとりじゃどうしても限界で……。だから、本当に来てくれてよかった」
その声に、は小さく首を振った。
「私で、よかったんですかね。マネージャーとかやったことないから、全然慣れてないし……」
ア「ううん。むしろ、ちゃんみたいな子でよかったって思ってる。頼りになる後輩がいるって、咲が言ってくれたの。……その子は忙しくて来られなかったけど、『だったら後輩のちゃんはどう?』って紹介してくれたの」
「……咲さんが…。そう、だったんですね」
知らなかった繋がりを知って、胸の奥が少しだけあたたかくなる。
アンリは、ふっと息を吐いて立ち上がった。
ア「じゃあ、次は施設内をもう少し案内しよっか。医務室とトレーニングルーム、それから選手の休憩スペースも」
「はい、お願いします」
――の表情は、ほんの少しだけ自信がついたようだった。