第6章 やぶれない檻
胸の奥が、苦しくて、苦しくてたまらない。
けれど、すぐに否定することもできなかった。
優人の言葉は、記憶の中の自分と確かに重なっていたから。
優「……君のこと、ちゃんと大切にする。守る。誰にも、傷つけさせたりしない。俺だけが、君をわかってるから」
そっと、の頬に指が触れる。
その動きはゆっくりで、優しくて、まるで壊れものを扱うようだった。
そして──
優人はほんのわずかに身を屈め、唇を重ねた。
…チュ…
「っ…!!」
強くもなく、支配的でもない。
ただ、昔のように愛おしげで、静かで、優しい。
そんなキスだった。
──心が、揺れた。
でも、それは「安らぎ」じゃなかった。
もっと深くて、抜け出せないものの予感だった。
──その時だった。
コン、コン
控えめなノック音が、空気を裂いた。
二人の間に、冷たい現実が流れ込む。
優人がゆっくりと顔を上げた、その目に、微かな苛立ちが宿る。