• テキストサイズ

奪い合う光の中で【ブルーロック】

第5章 忘れられない人


夕暮れの風が吹き抜けるグラウンド。
橙がかった光が影を長く伸ばす時間帯、潔、千切、凪の3人が姿を現した。

潔「今日こそ凪から1点取る!覚悟しとけよ!」

凪「えー……やだー、めんどくさー」

千切「そう言ってどうせ、またギリギリで止めてくるんだよな……。もうちょい本気でやれって!」

軽口を叩き合いながら、3人はそれぞれのポジションへ散っていく。
潔は俊敏な動きで切り込んでいき、千切は風を裂くように走り抜け、凪は飄々と受け止め、捌いていく。
息の合った攻防のなかに、どこか柔らかな空気が流れていた。

その端で、はベンチに腰掛けて、それを眺めていた。
数日前まで、まともに笑う余裕もなかったのに──

千切「おい、、見てんだろ?ちゃんと俺の速さチェックしとけよ?」

「ふふっ……もちろん。見逃してないよ」

千切の声に、は小さく笑う。
それを聞いた潔が振り返って──

潔「おっ、今笑った」
潔(よし、俺も負けてらんねぇ)

凪「じゃあオレは……もうちょっと見てるだけでいーや」

潔「ふざけんな!」

自然に巻き込むような軽いやりとり。
わざとらしくもなく、過剰でもなく──
ただ、みんながの“笑い声”を引き出すために、そこにいるようだった。

(……なんだろう、こういう時間、すごく久しぶりな気がする)

ふと気づけば、沈みかけの夕日が空を優しく照らしていた。
オレンジ色の空に、柔らかな声と笑顔が重なっていく。

は、自然と胸の奥があたたかくなるのを感じていた。
/ 175ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp