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奪い合う光の中で【ブルーロック】

第2章 新マネ登場


洗濯室の扉を開けると、柔らかい洗剤の香りと、ほんのり湿った空気がの鼻をくすぐった。
中には洗濯機が数台、乾燥機、棚にはタオルや練習着、そして名札付きの個人用カゴが整然と並んでいる。

國「ここが洗濯室。選手たちの使ったタオルやユニフォームは、基本ここで洗うことになる」

國神が無駄のない動作でタオルをカゴに入れながら説明する。

は持っていたノートに真剣な眼差しでペンを走らせた。

「えっと…カゴの並びは名前順…、ユニフォームとタオルは分けて洗う…乾燥機は右側……」

独り言のように呟きながら、何度も周囲を見渡し、しっかりと頭に叩き込もうとしている。

國神は洗濯機にタオルを放り込みながら、ちらりとそんなさなの様子を見た。

國(……真面目だな)

その姿は、まだ慣れていない手つきで、でも何とかちゃんとやろうと必死で、無駄なことはひとつもしたくないという気持ちが全身ににじんでいた。

國「そんなにガチガチにメモらなくても、すぐ慣れると思うけど」

ふと、國神が声をかけると、ははっと顔を上げた。

「すみません……でも、早く役に立ちたくて……」

そう言って、少しだけ恥ずかしそうに微笑んだ。

國神は一瞬だけ、返す言葉に迷った。

國(俺たちはサッカーをしに来てる。それだけだと思ってた。マネージャーが女だろうと男だろうと、誰が来ようと、そんなのどうでもいいって思ってたけど……)

國「……天羽」

「はい」

國「その……これからよろしく」

その言葉に、は少し驚いたように目を丸くした。

(怒ってるのか優しいのかよく分からない人だな…)

國神は照れ隠しのように背を向けて、洗濯機のフタを閉めながら短く付け加えた。

國「…無理は、しなくていいから」

その背中越しの言葉に、さなは小さく笑って、

「頑張ります」

と静かに答えた。

静かな洗濯室に、機械の音と二人の呼吸だけがふわりと漂っていた。
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