第4章 忍び寄る影
食堂に着くといつものみんなが揃っていた。
「ちょ、凪くん手…」
凪「なに?やだ?」
「嫌ってわけじゃないけど…」
(嫌じゃない…あれ…凪くんに手握られても全然嫌じゃない…)
そんなことを思っていると、手を離すタイミングがつかめないまま、潔が真っ先に二人の方へやってきた。
潔「さん、具合はどう?落ち着いた?」
「うん、おかげさまでだいぶ…」
するとと凪に気付いた他の2人もこちらへとやってきた。
國「…」
千「お。今日は顔色よさそうだな」
國神は凪に握られたの手をちらりと見て少し眉を寄せたが、千切の言葉が耳に入ると、ハッとしたように自分もに声を掛けた。
國「あ、おはよう。あー…昨日はよく寝れたか…?」
「うん。凪くんが、なんか朝までずっと近くにいてくれたみたいで…」
がそう言った瞬間、一瞬だがピリリとした空気が流れた。
しかしはそんなことには気づかず続けた。
「それに昨日みんながいてくれたから、今日はよく眠れたよ、ありがとう」
千「そ…そーだったのか!!それは良かった!」
千(凪が…?あのめんどくさがりの凪が…?朝まで側に居ただって…?やばい…なんかわかんねぇけどこれは相当やばい…)
國「…おう」
國(朝まで…今だって手繋いでるし…昨日あそこで俺が譲らなければその役割は俺だったのかもしれねぇのか…もう、正々堂々とか言ってらんねぇかもな…)
潔「そっ、か…」
潔(俺全然だめじゃん…昨日見つけたのも國神だし、そこから側に居たのも凪だし、千切だっていつもさんのこと笑顔にさせてて…なんか、俺だけ出遅れてる…)
……彼が“部屋の外”にいたという事実を、誰も知らないまま。
それぞれが、胸の奥に静かに波紋を広げていった。