第2章 新マネ登場
絵「ーーーーと言うわけで、アンリちゃんのことをお前らが困らせるからコイツが来たわけだ。そこんとこよろしく。まあ、甘ったれ共にどこまで扱えるかは知らんけどな。それじゃあアンリちゃん、あとは頼むよ」
絵心の一言で、その場は一旦お開きとなった。
ア「ちゃん、こっちに来て。まずは施設の案内をするね。慣れるまでは大変だと思うけど、無理はしないで」
「はい……お願いします」
まだ緊張の残る声で返事をすると、はアンリのあとに続いた。
ア「ここが食堂。栄養士さんがいて、選手たちに合わせた食事を出してくれるの」
広々とした食堂には、いくつかのテーブルが整然と並んでいた。空調が効いていて、外とは違う涼しさがある。厨房の奥には白衣を着たスタッフが数名、こちらに軽く会釈してきた。
「こんにちは、よろしくお願いします」
スタッフA「新しいマネージャーさん?がんばってね」
柔らかく迎えられ、さなは小さく頭を下げた。
「よろしくお願いします……」
ア「こっちはトレーニングルーム。あそこがシャワー室で、こっちが選手のロッカー。で、ここが備品庫」
次々と説明を受けるうちに、の頭の中にはどんどん情報が詰め込まれていく。
(……すごい広い。全部覚えられるかな。でも、ちゃんとやらなきゃ。)
は少しでも出来ることが増えるよう、必死にメモした。
ア「無理に全部覚えなくていいよ。困ったときは、近くの職員に聞けばいいから」
さなの顔色を察したのか、アンリが微笑んだ。
「……あ、はい。ありがとうございます」
⸻
一通りの案内が終わると、アンリは足を止めた。
ア「じゃあ、最初のお仕事をお願いしようかな」
「……はいっ」
ア「難しくないから安心して。洗濯室に行って、洗い終わったタオルを棚に補充してくれる?備品庫の隣の部屋にあるから、覚えてるかな?」
(備品庫……確かあの角を曲がって……)
「はい、たぶん行けると思います」
ア「困ったらいつでも聞いてね。じゃ、よろしくね」