第2章 新マネ登場
絵「黙れ、クソガキども。女一人に動揺するようなやつは、世界一のストライカーになんてなれない。俺はこいつが役に立つと思ったからここに置いただけだ。役に立たなかったら、即刻排除。それでいい」
そんなきっぱりとした宣告に、誰も逆らえず、ただ静まり返る。
の手が、少しだけ震えた。
でも、彼女は笑った。
ぎこちないけれど、優しい笑顔だった。
(ここで頑張るって、決めたから)
絵「そうそう、気になってるやつもいるだろうから教えておいてやる」
***
帝襟アンリは、重たい書類の束を机に落とし、深いため息をついた。
視界の端に、散らかったペンと未処理の申請書。
ア(もう、限界かも……)
自分で立ち上げたこのプロジェクト。情熱はある。覚悟もある。
だけど、やっぱり「一人」で全部を回すには、無理があった。
ア「誰か……誰か、信頼できる人、いないかな……」
ふと、脳裏に浮かんだのは大学時代の後輩の顔。
気が利いて、几帳面で、人を支えることが好きなタイプだった。
すぐに連絡を取ったが、返ってきたのは丁寧な断りのメッセージ。
「でも、その代わり――」と、彼女は続けた。
《私の後輩はどうでしょう。優しくて、健気で、誰よりもまっすぐな子。きっと、アンリ先輩の力になれます。》
それが、「天羽」だった。
電話越しの声は柔らかく、少し不安げで、けれど芯が通っていた。
『……わたしなんかで、役に立てるなら、やってみたいです』
ア(彼女が来てくれてよかった。あの子は、ただの“支え”じゃない。“選ばれていい人”だ)
あの瞳に、何かを捨てて、それでも前を向こうとする強さがある。
アンリはそう思った。
だから、エゴに彼女のことを話した時も、堂々と推した。
エゴは興味深そうに唇を歪め、「面白い」と笑った。
絵《マネージャー……? フン、それもまた“化学反応”だ》
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