第2章 新マネ登場
絵「全員、集合だ」
訓練後の選手たちが集まったミーティングルームに、あの不機嫌そうな声が響き渡る。
壁に設置された大型モニターには、いつもの無表情な顔――絵心甚八が映っていた。
絵「今からお前たちに、新しい“駒”を紹介する」
その物騒な言葉に、室内がざわつく。
選手たちの眉が、ピクリと動いた。
次の瞬間、スライド式の扉が音を立てて開く。
現れたのは、彼らには見慣れない、ひとりの少女だった。
年齢は自分たちと同じくらいだろうか。
長い髪を一つにまとめたその姿は、ここ“ブルーロック”という名の戦場には似つかわしくない。
けれど、その両目だけは、驚くほどまっすぐだった。
絵心「今日からブルーロックでマネージャーを務めることになった――天羽だ」
無機質な紹介に続いて、少女が一歩前へ出る。
姿勢を正し、深く頭を下げた。
「はじめまして。天羽と申します。選手の皆さんがサッカーに集中できるよう、生活面を中心にサポートさせていただきます。ご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが……よろしくお願いします」
柔らかく、丁寧な口調だった。
けれどその声の奥には、どこか張り詰めた緊張感が滲んでいる。
「やっべぇ!めっちゃ可愛いじゃん!」
「俺、狙っちゃおうかな」
「え〜!あんな可愛い子が来て嬉しい!」
そんな声が一部で上がる。
けれど同時に、冷たい視線や不信の目も混ざっていた。
「女がマネージャー?」
「マジでいらなくね?」
「ここ、学校じゃねぇぞ?」
鋭く、突き刺さるような言葉。
だが――
は、うつむきそうになるのをぐっと堪えた。
ここが自分の逃げ場所であり、新しいスタートラインなのだから。