第2章 新マネ登場
電話を切ったあと、アンリはふとの姿を思い出す。
誰かに認められようと、懸命に笑顔を貼りつけていたあの瞳。
ア(あの子は、ひとりじゃないんだって。ちゃんと伝えてあげなくちゃ――)
アンリは、無意識にトレーニングルームの方を見た。
そこには、練習を終えて戻る選手たちの姿と、その中でどこか小さく見えるの背中。
ア(ちゃん……)
思ったよりもずっと深く、彼女は何かを背負っているのかもしれない。
そう感じたアンリの目が、少しだけ鋭くなる。
ア(ちゃん、ここで少しずつ、居場所を見つけていけたらいいな……)
その願いは、まるで見守る姉のような眼差しが滲んでいた。