• テキストサイズ

奪い合う光の中で【ブルーロック】

第2章 新マネ登場


ドリンクの補充も終え、凪と千切との会話の余韻がまだ胸の奥に残る中――
は備品管理室へと戻り、残っていた作業を片付けていた。

「ふぅ……これでひと通り、今日は大丈夫かな……」

タオルを畳み終えたところで、やっと自分の呼吸に意識を向ける余裕ができた。
隅のベンチに腰掛け、小さく息をつく。

(緊張したけど、なんとかできた……かな?)

國神くんに助けられて、凪くんにはカートを運んでもらって、千切くんにも言葉をかけてもらった。
初対面ばかりだったけど、みんな冷たくはなかった。
それが嬉しかった。

(でも、まだ全然慣れてないし……気を抜かないようにしないと)

そう思って目を閉じた、その瞬間。

ガチャッ――

不意に扉の開く音がして、はビクッと肩を揺らした。
振り返ると、そこに立っていたのは――

鋭い目つきと、エメラルドの瞳。糸師凛だった。

「あ…あの……何か……」

凛「俺に構うな」

その言葉は刃のように冷たく、問答無用の圧を持っていた。
は思わず言葉を飲み込む。

凛は無言でプロテインと縄跳びを手に取ると、扉の方へと向かった。
けれど去り際、背中越しに低く呟く。

凛「俺は自分のことは自分でやる。そんなに怯えて、何を隠してここにいるのかは知らないが――俺の邪魔はするな」

そのまま、足音も静かに凛は去っていった。

「…………」

残された空気はどこか凍りついたようで、は小さく息を飲んだ。

(……怖い。けど……)

あの人の言葉は、まるで胸の奥を覗かれたようで――
否定するよりも先に、何かが突き刺さって抜けなかった。

(ここでは、ああいうのが“普通”なのかもしれない。……でも、負けたくない)

両手を膝の上で握りしめながら、はそっと目を伏せた。
/ 175ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp