第11章 愛し方の答え
そう一言だけ呟いて、凛は自分の首にかかっていたタオルを取ると、の頭にそっとかぶせた。
凛「……風邪引くぞ」
優しく、だが乱暴でない動作で、濡れた髪をそっと拭ってくれる。
その距離の近さに、の心臓がひときわ大きく鳴った。
「……ありがと」
そこからしばらく、ふたりのあいだには沈黙が流れた。けれど、どちらもその空気を壊そうとはしなかった。
やがて凛は、タオル越しにの頬に両手を添えると、そっと上を向かせるようにムニュッと掴む。
「……な、なに?」
困惑しながら目を瞬かせるに、凛はどこかつまらなそうに目を伏せた。
凛「別に」
それだけ言って、また2、3回ムニュムニュッとすると今度はそっと、の肩を引き寄せて、自分の顎をの頭に乗せるようにして抱きしめた。
凛「……いい加減頑張んのやめろっつーの……バーカ…」
その声はかすかに震えていて、でも優しかった。
は、その温度に包まれながら、自然と笑顔になっていた。
「……ありがとう。なんか、安心した」
自分が今、確かに“誰かに守られている”ということを、こんなにも静かに感じられる瞬間があるなんて――は初めて知った気がした。
そして凛は、の髪をそっと撫でながら、何も言わずその場に立ち尽くしていた。
その沈黙の中、彼の胸に芽生えた感情は、いつしか名前を持ち始めていた。