第11章 愛し方の答え
國「——お前だからだ。だから、守りたいって思ってる」
その言葉に、の時間が一瞬止まったようだった。
(……今、初めて…名前……)
國神の声が、思ったより低くて、思ったよりも優しかった。
そのまっすぐな視線に、息を呑む。
國「……名前で呼んでいいかって、ずっと聞きたかった。今じゃなきゃ、ダメな気がして」
「……いいに、決まってるじゃん……」
胸の奥が、じんわりと熱くなる。
肩を抱かれたときのぬくもりが、まだ残ってる気がした。
(いつも強くて優しい人だけど……こんなふうに、誰かに真っ直ぐに言われたの、初めてかもしれない)
國「これは、義務感からでも責任感でもないからな」
國(ただ……を守りたいって、俺自身の願いなんだ)
吹き抜ける風の中で、國神がふっと目を細めて笑った。
その笑顔に、はまた胸の奥をぎゅっと掴まれた気がして、少しだけうつむいた。
風の音にまぎれて、名前をもう一度呼ばれたような気がした。